CRISPR/Casを使ったウイルス検査手法の開発を巡る熱いバトル

近年、研究者界隈で大きな話題になっているCRISPR/Cas。「核酸の認識と切断」からなるこの技術は、ゲノム編集に応用できるだけでなく、ウイルスを高感度で検出する手法に使えるのではないかと考えられています。

さて、CRISPR/Cas研究の第一人者として知られるJenifer Doudnaらのグループが「CRISPR/Cas12aが1本鎖DNAウイルス検出ツールとして使える」と言うことを示した論文を発表しました (Science, 2018)。さらに、 DoudnaらとCRISPRの特許で争っているFeng Zhangらのグループも同じ号に「Cas13とCas12aとCsm6が核酸検出ツールとして使える」という論文を発表しています (Science, 2018)。

この辺りの争いについてもう少し詳しく書いていきます。

 

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やはりNgAgoは哺乳類細胞ではワークしない (Nat. Biotech.)

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ゲノム編集は生命科学を大きく発展させる技術として注目されています (Nat. Biotech. 2014)。現在はCRISPR/Cas9をベースとしたゲノム編集が広く使われていますが、これも完璧な方法ではないため、さらなる技術開発が行われています。

NgAgoと呼ばれる手法はゲノム編集技術の新しい方法の一つとして注目されました (Nat. Biotech. 2016)。しかしこの論文の結果が再現されずに世界中で議論を呼んでいたのです (アレ待チ 2016)。

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新規ゲノム編集技術NgAgoが再現されない問題について

現在のゲノム編集技術の主流は「ゲノムDNAに相補的なガイドRNA」と「DNA切断酵素」の組み合わせだ。非常にパワフルなツールだが、標的ゲノム領域が完全には自由に設計できなかったりと、まだまだ改善点が存在する。

 

2016年の5月に中国のグループからDNAをガイドとしたゲノム編集技術の開発という論文が発表された。

この論文ではNatronobacterium Gregoryi のArgonaute (NgAgo) を用いてゲノム編集に取り組んだ。NgAgoは約24ヌクレオチドの5′リン酸化一本鎖ガイドDNA (gDNA) と結合して効率的に部位特異的DNA二本鎖切断を生じる。NgAgo–gDNAシステムはPAM配列を必要とせず、GCリッチなゲノム標的の編集効率が高いため、従来のゲノム編集法を置き換えうるのではないかと大きな注目を集めた。

 

しかし数ヶ月がたった今問題が起こった。論文の結果が再現されないのだ。

 

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