膨張顕微鏡による病理組織のナノスケール解析

小中学校にも置いてあるようないわゆる普通の顕微鏡、光学顕微鏡には拡大できる限界があります。どんなに良いレンズを使ってサンプルを拡大して見ても、可視光では200nm程度のものまでしか見えないのです。

「サンプルを物理的に巨大化させてしまえば、200nm以下のものも見えるのではないか?」という奇想天外な発想をした研究者がいます。この技術は膨張顕微鏡 (expansion microscopy) と言われ、実際にナノスケールの構造を従来の光学顕微鏡で観察できるとして注目を集めています (脳を膨らませてナノスケールの細部を観察 | Vol. 12 No. 4 | Nature Research)。

膨張顕微鏡がどこまで発展性があるか議論されていましたが、普通の病理標本をこの手法で拡大してナノスケールの違いを判別できたと言う論文がNature Biotechnology誌に発表されました。

 

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視細胞の円盤膜の形成とエクトソームの意外な関わり

その昔、クラミドモナスの繊毛からエクトソームと呼ばれる謎小胞が放出されることを示した論文の話をブログに書きました。このエクトソームは細胞外でシグナルとして働き得るため近年注目を集めています。

先日Journal of Cell Biologyに出た論文で、エクトソームの放出を抑えることが視細胞の複雑な形づくりに必要であることが新たに示されました。それについて少しだけ詳しく書きます。

 

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