新規ゲノム編集技術NgAgoが再現されない問題について

現在のゲノム編集技術の主流は「ゲノムDNAに相補的なガイドRNA」と「DNA切断酵素」の組み合わせだ。非常にパワフルなツールだが、標的ゲノム領域が完全には自由に設計できなかったりと、まだまだ改善点が存在する。

 

2016年の5月に中国のグループからDNAをガイドとしたゲノム編集技術の開発という論文が発表された。

この論文ではNatronobacterium Gregoryi のArgonaute (NgAgo) を用いてゲノム編集に取り組んだ。NgAgoは約24ヌクレオチドの5′リン酸化一本鎖ガイドDNA (gDNA) と結合して効率的に部位特異的DNA二本鎖切断を生じる。NgAgo–gDNAシステムはPAM配列を必要とせず、GCリッチなゲノム標的の編集効率が高いため、従来のゲノム編集法を置き換えうるのではないかと大きな注目を集めた。

 

しかし数ヶ月がたった今問題が起こった。論文の結果が再現されないのだ。

 

 

全世界で再現実験が行われたが、その結果は決してポジティブとは言えない。

 

だがこの技術が完全にダメだと確定するには少し早い。アンケートによると幾つかの研究グループは再現に成功したと報告している。と言ってもわずか5%ほどであるが。

NgAgo Survey Results

再現性が低いのは他の研究者が見落としているファクターがあるからかもしれない。

 

余談だが、Nature誌に掲載された記事についているコメント欄が非常に面白い。

「20の研究室もが再現に成功したと言うが、具体的な研究室名は明かされていない」

「NgAgoが再現されたとWebio (中国のSNS)で 匿名ユーザーが発信しているが、そのユーザーIDは研究グループの部屋番号と一緒だ」

これらのコメントの真偽は不明だが、何れにせよ元論文の研究グループが何かしらの反証データを出すだろう。今後、この研究の動向を見守っていくことが大切だ。

※2016年11月に進展があった→やはりNgAgoは哺乳類細胞ではワークしない (Nat. Biotech.)

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