シグナル伝達経路のより良い模式図、Minardo Chartとは

細胞内シグナル伝達経路は理解を容易にするためによく模式図で描かれます。
SAT_insulin

このような模式図に欠落しているのは時間の情報です。

シグナル伝達は時間とともに広がっていくので、図の中に時間と空間の情報が入っているとシグナル経路の全貌をより良く理解することができます。しかし、これまで良いデータビジュアライゼーションの方法がありませんでした。

 

 

ミナルドの模式図

19世紀のフランスのシビルエンジニアであるCharles Joseph Minardが作った模式図は、複数のデータを一つの図で表した良い例として知られます。

Minard_map

 

ナポレオンのロシア侵攻を表したこの図は、太い茶色の線がフランスからロシアへの侵攻を、黒い線がその太さで撤退人数を表しており、全部で6種類ものデータが含まれます。

 

 

細胞内シグナル経路のミナルド図

ミナルドの図にインスピレーションを受け、シグナル伝達の模式図に時間情報を取り入れることができないか挑戦したのが生命科学のデータビジュアライゼーション分野で著名なSeán O’Donoghueさんです。

Minardo-diagram-layout

Minardo Chart」と名付けられたこの図は、真ん中に核が、外側に細胞膜が有り、細胞質に当たる部分に黄色い矢印で示された時間情報が取り入れられています。

 

これにインスリンシグナル経路に関わる分子を入れたのが以下の模式図です。

B02

インスリンの結合後15秒までに様々なタンパク質のリン酸化が起こり、複雑に相互作用しながら反応する場所を変え、結果として様々な代謝イベントが引き起こされる様子を一目で見ることができます。

 

単に暗記するだけならば前者の模式図のほうが良いかもしれませんが、反応の意味を考え理解するには後者の模式図が適しています。サイエンス・ビジュアリゼーションの力を思い知らされました。

 

 

元ネタ The visualizations transforming biology (Nature News & Comment)

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