プロポーズに学術論文を使った事案が研究者界隈で話題に

学術論文には研究を支えてくれた人々に感謝を述べる『謝辞 (Acknowledgement)』という欄がある。

実験に必要な試薬を作ってくれた技官さん、好意的にサンプルを提供してくれた仲間の研究者、研究費を出してくれたスポンサーetc…。

論文の根幹には関わっていないので著者に名前を入れることは出来ないが、研究をサポートしてくれた人々に論文の一部を使用して感謝の意を表すのである。

 

卒業論文、修士論文などでは「私を支えてくれた両親」「大切な恋人」「癒やしをくれたアニメキャラクター」に向けた謝辞を書くことがある。これは後に高確率で黒歴史化するのだが、それはまた別の話だ。

さて、この『謝辞』を使ってプロポーズをした研究者が出てきた。しかも卒業論文ではなく、著名な学術誌上でである。前代未聞だ。

 

Current Biologyという雑誌に出た論文

この論文は新種の恐竜、レガリケラトプス (Regaliceratops) の化石を発見したというものだ。

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三本の角と王冠のようなフリルが特徴のレガリケラトプス。こんな生き物が約6,800万年前の地上を歩いていたという。非常にロマンがある話だ。

 

プロポーズの文面

さて本題に移ろう。この論文の謝辞はこのような文面だ。前半部は長いので読み飛ばしていただきたい。

研究者とスポンサーへの謝辞:We thank P. Hews for his many fossil discoveries in Alberta, including the holotype of Regaliceratops. D. Tanke, J. McCabe, and D. Lloyd assisted in the excavation and collection of the specimen. K. Thompson and family provided land access for equipment and excavation. D. Tanke’s technical assistance in both the field and laboratory, including his patient preparation, was integral to this research and allowed for the reconstruction and study of the specimen that would have not been possible otherwise. Access to, and assistance with, the specimen was provided by B. Strilisky, R. Russell, G. Housego, B. Sanchez, and T. Courtnay. J. Bancescu provided assistance with map illustration. D. Braman and D. Eberth provided geological context and discussion, and B. Borkovic, D. Brinkman, D. Eberth, D. Evans, D. Field, J. Mallon, M. Ryan, and J. Scannella provided helpful discussion and information. We also thank F. Maderspacher, M. Loewen, and an anonymous reviewer who provided comments that improved the manuscript. Funding for this research was provided by the Royal Tyrrell Museum of Palaeontology and the Royal Tyrrell Museum Cooperating Society.

恋人への謝辞:C.M.B. would specifically like to highlight the ongoing and unwavering support of Lorna O’Brien. Lorna, will you marry me?

うわ!!本当に書いてある!!!わざわざ恋人だけ段落分けしやがって特別扱いも甚だしい。よく編集者もこれを通したものだと関心せざるを得ない。

 

気になるプロポーズの答えはYesだったそうだ*1

良い雑誌に論文が受理され、嫁さんもゲットし、にくいことこの上ない。おめでとう!

 

終わりに

筆頭著者はポスドク、プロポーズされた人博士課程の大学院生 古生物学者 (ポスドク?) のようだ。大学院からの知り合いだったのだろうか。

この事例を参考にして、卒論・修論でプロポーズするヤンチャな学生が増えることを心から望んでいる。

*1:「After seeing a preprint, she has already said yes.」とtweetのリンク先Science記事に書いてある。id:tsukitanukiさんthanx。

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