クモにカーボンナノチューブとグラフェンを噴霧してクモ糸の強度を増す実験について

Gigazineにこんな記事が出ていたので元論文を流し読みした。

 

実験の背景として、クモ糸に亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミ(Al)を導入して強度を上げるという先行研究が有る (Science, 2009)。「それならカーボンナノチューブとかグラフェンかけても強度を増せるんじゃね?」という発想らしい。

 

 

実験デザインは非常にシンプル。以下の方法で溶液を作成し、それをクモに直接噴霧し、それらが作ったクモ糸の強度を調べるというもの。

A) カーボンナノチューブ溶液の作製
2% SDS溶液に単層カーボンナノチューブを0.1mg/mlで溶かし、ソニケーションした後に遠心して上清を回収。

B) グラフェン溶液の作製
2% SDS溶液にグラフェンを10mg/mlで溶かし、ソニケーションした後に遠心して上清を回収。
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先行論文のマテメソを見てみると、クモに糸を作らせた後、その糸を原子層堆積装置(ALD)で処理したとあるので、2つの実験のデザインは大きく違う。

 

今回の論文では、クモに液を噴霧するだけでクモ糸の強度が3.5倍に上がったと言っている。クモ糸にグラフェンやカーボンナノチューブが取り込まれたことはラマンのシフトから主張している。しかしFig3を見るに、毎回成功するわけではないようだ。

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「クモ糸が作られた後、その外側がカーボンコーティングされた可能性も否定できないが、この強度から考えるにクモ糸の内部にカーボンが取り込まれたはずだ (Fig.S8)。クモは糸にグラフェンやカーボンナノチューブを織り込むことができ、これはそれらの物質を効率よく体外に排出する意味もある。」と議論している。

この結果が本当ならばシンプルでとても素敵だが、ちょっと納得できないところがある。専門家の皆様、如何なもんなのでしょうか。

 

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クモにカーボンナノチューブとグラフェンを噴霧してクモ糸の強度を増す実験について” への1件のフィードバック

  1. 成功頻度は低いといっても、クモに振りかけるだけだなんて、そんなにうまく行くもんかなぁ?というのが正直な感想ですね。

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