まつ毛の長さを調節する遺伝子が明らかにされた

まつ毛は顔の印象を決める重要な要素の一つです。まつ毛が長くなれば目がぱっちり見えるので、若い女性を中心にまつエク(まつげのエクステ)が流行っていますね。

ところで、まつげの長さってどのようにして決まってるのでしょうか?米国コロンビア大学の研究グループは、この謎を明らかにするためにとある家系のゲノム解析を行い、FGF5と言うタンパク質がまつげの長さを調節する事を新たに発見しました。

 

 

パキスタンの家系で見られる長睫毛症

まつげの長さを調節する分子機構を明らかにするために、研究グループはパキスタンのとある家系に着目しました。この家系ではまつ毛が著しく長い長睫毛症と言う表現形が見られます。

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この家系のヒトたちが持つゲノムを解析し、まつ毛の長さが正常なヒトと遺伝子を比較すれば、まつげの長さを制御する遺伝子が解明できます。

 

FGF5は毛の長さを制御するタンパク質である

研究グループが全エクソーム解析*1を行ったところ、長睫毛症の家系ではFGF5と言うタンパク質をコードする遺伝子に変異が入っていることが分かりました。

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FGF5の174番目のチロシンがヒスチジンに変異していた

さらにこの家系の人では、腕の毛も通常に比べて長い様子が見られました。このことからFGF5はまつ毛だけでなく様々な毛根の細胞に働きかけ、細胞分裂を調節することで毛の長さに影響を与えていることが示唆されます。

 

アンゴラ(ウサギ)の原因遺伝子もFGF5

毛が長いと言えば、アンゴラウサギを始めとする長毛種を思い出す人も多いでしょう。実はこの長毛種の原因遺伝子がFGF5だと言うことが知られています。

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FGF-5の働きが抑制されたウサギの長毛種(アンゴラウサギ)(右)

また人工的にFGF5を欠損させたマウスでは、アンゴラウサギのように毛が著しく長くなることが報告されています (Cell, 1994)。さらにFGF5に変異が入ったマウスでは毛がチリチリになることからも、この遺伝子が毛の伸長に重要な役割を果たすことが分かります。

今回の研究は、げっ歯類だけでなく、ヒトでも確かにFGF5が毛の長さを調節するという証拠を提示したことに意義があります。個人的には、進化の過程でヒトの体毛が薄くなって行ったことと絡めて考察すると面白いのではないかと思ったのですが、この論文中では特に記述は見つかりませんでした。

 

終わりに

「じゃあFGF5を標的とすることでまつ毛の長さが自由自在に制御できる日が来るんですね!!!」もちろんその可能性は有りますが、パキスタンの家系では腕の毛も長くなっているということなので、特定の毛だけを狙って長さを制御することは現時点では難しいでしょう。

好きなように毛の長さを調節できれば面白いですね。個人的にはムダ毛を減らしたい。

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