メルケル細胞が触覚を受容するためにピエゾが必要だということがわかった

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Piezoの二次構造がやばかった

万人ウケするネタじゃないけど面白かったので適当に書きます。Natureに同時に二本、こりゃすげえ。

受容器が先か、神経が先か

体性感覚、「痛み」「振動」「柔らかさ」などは、皮膚の中に存在する別個の機械受容器(例えばマイスナー小体, パチニ小体, メルケル盤など)によって受容されます。まあここを説明しだすときりがないので気になる人は教科書でも読んで下さい。

皮膚感覚の不思議―「皮膚」と「心」の身体心理学 (ブルーバックス)

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メルケル盤は機械受容器の一つで、圧に対する応答が遅く「やさしく押された」皮膚の感覚を受容すると言われます。メルケル盤ではメルケル細胞と神経細胞がシナプスを作っている*1ことがよく知られています。

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しかしメルケル盤が圧を感知するメカニズムとしては
 1.メルケル細胞自身が圧力を感知する
 2.圧力を直接感知するのは神経細胞(メルケル細胞は付随)
という二つの可能性が考えられ、実際にどっちかはよく分かっていませんでした。

機械刺激依存性イオンチャネルPiezo2

そこで今回の論文では「圧力を受容するタンパク質」に着目しました。このタンパク質は圧力がかかるとタンパク質の形が変形してイオンを通す、いわゆる機械刺激依存性イオンチャネルの一つです*2。圧力を電気に変換する、だからピエゾなんですね。

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力がかかるとイオンを通すタンパク質のモデル図

優しい刺激を感知するのにPiezo2が必要

で、Piezoタンパク質はハエの触覚に必要だっていうことは分かっていたんですが*3、哺乳類では詳細に調べられていませんでした。そこで調べてみたところ、Piezo2タンパク質はメルケル細胞では発現しているけど感覚神経には発現しないことが分かりました。そこでPiezo2を欠損させたところ、確かに触覚がおかしくなったというわけです。

もう一方の論文では、メルケル細胞にChR2を発現させたり色々と検証しているわけですが、そっちは専門性が高くなるので気になる人は元の論文を読んで下さい。

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メルケル細胞が圧を感知して感覚神経に情報を伝えるモデル図

良いところに気づきましたね。上図のfigure legendに「未同定の神経伝達物質を介しているだろう」と書いてあります。それは今後の研究で明らかにされるでしょう。

膜貫通しすぎタンパク質Piezo

この模式図だと膜を39回貫通している・・・?!僕の常識にはこんなタンパク質は存在していませんでした。いやはや、いろいろな意味ですごいタンパク質ですね、Piezo。

終わりに

書き終わったあとに気づきましたが、著者に日本人の方がいらして、その人twitterやっていたんですね。

しかも慶応大学がプレスリリースも出していました。STAP報道に隠れてしまって全く気づいていませんでした。お恥ずかしい。

(4/17追記)さらに今日のCellにも別グループから同じ内容で論文が発表されていました。僅差ですね。熾烈な競争です、2グループとも論文が通って本当に良かった・・・。

少し投げやりな記事になりましたが今日はこのへんで。

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