STAP細胞由来の100%キメラマウス
STAP細胞のニュースが盛り上がってますね。この研究成果には私も大いに驚かされました。Nature誌に同時に二報掲載されることは非常に稀です。この研究成果は幹細胞研究のブレークスルーになるのではないでしょうか。
- Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency (Nature, 2014)
- Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency (Nature, 2014)
この研究成果を分かりやすく理解したい人には、60秒で理解できる理研のプレスリリースを読むことをオススメします。研究者の生の反応が知りたい人はtogetterまとめが良さそうです。
ここを間違って理解していました
さっき一度記事を上げたのですが、間違っていたので訂正します。この実験の流れが初期化に必要だと勘違いしていたのですが、実際には『細胞が初期化されたかを目で確認するためにこのような実験を組んだ』が正しいです。失礼しました。
これが実験の流れ (論文のFig.1より)
そのへんの細胞に酸性液ぶっかけたら誰でもSTAPできる、とか思っている人多数なので言っておくけど、Oct4::GFP Knock-in mouse の膵臓取ってきて、CD45+をFACSという高額機器で集めてくるの前提だからな。刺激後、買ったら高価なrLIFとACTH培地が必要。
— みなぎる愛 (@dritoshi) January 29, 2014
@Fm7 oct4-gfpはマーカー、FACS 使ったのはリンパ球由来であることをはっきりさせるためだけで、大勢には影響ないと思う。
— Narako (@FrdmFries) January 30, 2014
@Fm7 ただ、FACS(セルソーター)だと、細胞を流して目的の細胞を分取する時に高圧(~5気圧)をかける。で、「高圧だと刺激が入るから低圧にして」という人が一定数居るんだよね。もしかすると、この圧力が初期化に何らかの寄与をしてる可能性はあるかもしれない(論文読んでない)。
— くりはち(^^^; (@cytometrer) January 30, 2014
STAP細胞の論文、とりあえずArticleのほうだけざっと読んだけど、説得力をもたせるためにGFPで発現変化追った点、セレクションしやすいようにリンパ球の細胞使い、それが遺伝子組み換え起こるからコンタミでないことのチェックに使える点など、Figure1の流れが美しかった
— 1-6-2-3 (@naka_1623) February 1, 2014
STAP細胞の全能性を維持するためには高価な試薬*1や培地が必要と言うのは正しいと思います。ちなみに僕と愛さんは別人です。
ヒトのSTAP細胞は出来るか
さて、今回の論文では生後まもないマウスから取った細胞をSTAP細胞にすることに成功しました。しかしヒトの細胞が同様の手法によって初期化出来るかはまだ分かりません。
— Narako (@FrdmFries) January 30, 2014
@Fm7 P7マウスでやってる(成体はどうか、ましてhumanはどうかはまだ不明)、他のラボで追試できるか、とかですかね
— Haluca M (@halcM) January 30, 2014
一部報道では既に猿の細胞からSTAP細胞が作られたと書かれていますが、現時点でこれを信じるのはちょっとリスキーです。これはiPS森口の件を思い出していただければ分かると思います。
- 新万能細胞、サルの治療で実験中…ハーバード大 – 読売新聞
- Study Says New Method Could Be a Quicker Source of Stem Cells – NYTimes.com
霊長類の細胞でもSTAP細胞が作れることが本当だとしたら、今年中には論文が発表されると思います。それまでは気長に待ちましょう。
終わりに
今回のSTAP細胞は人工的な環境下(培養皿の中)で作られました。なので人間が酢を飲んだり酸性の温泉に入ったりすることでSTAP細胞が出来るかは現時点では分からないとしか言えません。そんな簡単に体内がリプログラミングされたら生物としてマズい気がするので、通常起こらないと予想しているのですが真実はどちらでしょうか。
STAP細胞になるメカニズムは、私たちの身体の中で実際に起きているどんな現象を反映しているのでしょうね。生物って不思議。