『寒さに最も強い生物はヌマエラビル!?』 -196℃でも生存できるヒルが見つかったんだってさ

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東京海洋大学と農業生物資源研究所の研究チームが、ヌマエラビルは-196℃で凍らせようが-90℃で三年近く凍らせても生存することを発見しました。マジかよキグナス氷河ばりに凄いな、このヒル。

なんでわざわざヒルを凍らせるなんて実験をしたかと言うと、-80℃で保存していたカメを解凍したら、そこに寄生していたヌマエラビルが動き出したことがキッカケとのこと。さらに詳しいエピソードはプレスリリースを読むと良く分かります。

さて、折角ですのでヌマエラビル研究の何が面白そうか、他の生物と比較しながら考えてみました。


低水分状態になることで耐凍性になる生物がいる

どんな環境でも生きることが出来る最強生物として有名なのはクマムシですね。最近盛んに売りだされているので、皆様もどこかで目にしたことがあるのではないかと思います。

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乾眠状態のクマムシは様々な極限的な環境に曝露した後も、給水により生命活動を再開することから、マスメディア等では最強動物などと言われることもあります。

クマムシほどまでとはいかなくても、ユスリカの幼虫*1や線虫*2の一種は非常に強い耐凍性を持つことが知られています。これらの生物に共通するのは『時間をかけて乾燥する、または凍結保護物質の蓄積を行うことで、高い耐寒性を獲得する』と言うことです。

低水分状態にならずに耐凍性を持つヌマエラビル

さて、今回の発見で何が面白いかというと『通常の状態でヌマエラビルは-196℃に耐えれる』と言うところです。?しかもこの耐寒性は成長する過程で獲得したものではなく、生まれてすぐのヌマエラビルも持っています。特別な準備をせずとも低温に強いとはまさかこいつ最強の耐寒性生物

f:id:mdr52:20140123185422j:plainウーパールーパーみたいでかわいい。

では耐凍性のメカニズムを少し考えてみましょう。ヌマエラビルを低温に置くと、他の生物のように細胞内に氷の結晶を作りにくくする分子が蓄積するのでしょうか?論文ではそこをあまり詳しく調べたように見えないのですが、プレスリリースによると「凍結保護物質(トレハロース等の糖類)の蓄積は確認されなかった」と書かれています。

だとすると、ヌマエラビルの細胞には恒常的に何らかの特別な耐凍性遺伝子が発現していると予想されます。しかし今回の研究では、まだその分子的な実態を明らかにすることが出来ていません。まあゲノムも読まれていないと思いますから、分子実態を見つけるのはとても大変ですよね。

終わりに

「クマムシは乾眠しないと(比較的)低温に弱いが、ヌマエラビルは通常状態で低温に強い」
はいここテストに出ますよー。

実を言うと人間の細胞ですら凍らせた後に再び復活させることが出来ます*3。急速凍結すると細胞内に氷の結晶が出来るため細胞は死んでしまいますが、結晶が出来ないように気をつければ多くの細胞は凍結保存することが出来るのです。
もしヌマエラビルの高い耐寒性が1つの遺伝子で作られているとしたら、これを細胞に発現させることで極低温に耐えられるようになるかもしれませんね。もしかしたら人間が極低温条件下でも生存できるようになるかもしれません。

ちょっとSFっぽい話に逸れてしまいました。現実的な応用として、耐凍性遺伝子を植物に導入すると雪害を防げたりしないでしょうか。だとしても代謝は変わらないたろうからダメかな、難しい。なにか面白い妄想が有る人は教えて下さい。

今後ヌマエラビルの研究はどのように進んでいくのでしょうか。しばらくは東京海洋大学と生物研のグループから目が離せそうにありません。

PS.この分野は詳しくないので間違いなどありましたらご指摘お願いします。

PS2.クマムシの人に突っ込まれたので*4ちょっと文章直しました。【終わりに】の一行目。

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