これからのduonの話をしよう

まだblog継続して書けるほど暇になっていないのですがIDコールで呼ばれたので一応レスポンスを。僕を呼んだのは以下の記事を書いた人。早速記事を読んでみた。

遺伝子に duon という新発見がなされた、という情報が出た。しかし、本当ならば、世界的に大々的に話題になっているはずだが、そうか?英単語でググった何れの記事を見ても簡単にわかる。
「Duon というのは、ただの既知の情報にすぎない。それに適当な名前を与えただけだ」

で、この人が引いているのは海外の記事。まあ確かにこうして見るとこの人の主張が正しいようにも思えてくる。

おうおう、あたかも国外でエラい叩かれ方をしているように見えてしまう。

っていうかそもそもduonってなんだっけ?

まずduonの定義を確認しておこう。Duonとは先日のScieceに発表された論文に出てきた単語のことだ。なんでもdual-use codonsの略でduon(s)と名付けられたらしい。このブログ記事が沢山ブクマされているし良い解説なのかしらね。読んでないけど。

さて、Scienceに発表された論文の見出しを見てみよう。すると「Exonic Transcription Factor Binding Directs Codon Choice and Affects Protein Evolution」が正式なタイトルであることが分かる。「エクソンに結合する転写因子がコドン選択性を指示してタンパク質の進化に影響する」とでも和訳すればいいのかしらね。

謎の用語Exonic Transcription Factor Binding

日本でも海外でも注目はduonと言う単語に集まっており、この発見がメインであると報道されているようだ。しかし見て分かるようにタイトルにはこのduonと言う単語が入っていない。通常、一番大きな発見を端的に表す文章が論文のタイトルに選ばれるのでちょっと不思議なことだ。

このタイトルから見て取れることは2つある。1つ目はExonic Transcription Factor Bindingなるものがあること、2つ目はそれがタンパク質の進化に影響するだろうということだ。恥ずかしながら不勉強のためExonic Transcription Factorなる用語を知らなかった。ので、ググった。研究してる人だけどPubMed使わないで、ググった。Google Scholarじゃなくて、ググった。するとExonic Transcriotion Factorを含む論文が出てきた。

We uncovered seven regulatory elements within coding regions and three within 3’ untranslated regions (UTRs). Two of the putative regulatory elements were enhancers and eight were silencers. We estimate that hundreds of exonic transcriptional regulatory elements exist, an unexpected finding that highlights a surprising multi-functionality of sequences in the human genome.

論文の要約を読むと、遺伝子をコーディングしているDNA領域に調節因子が結合するとハッキリ書いてある。「すごいぞ!デュオンは先行論文にあったんだ!(CV:パズー)」。ここまで見ると、duon論文は名前を新しく付けただけの新規性がない論文に思えてきてしまう。

しかしそこは本題ではない。ではScienceに出た論文に戻ってよく考えてみよう。本当にScienceの論文で、duonが一番の発見って書いてあったか?

Science論文の主義主張

まあ何度も書くけど「Exonic Transcription Factor Binding Directs Codon Choice and Affects Protein Evolution」がタイトルなんですよ。結局のところ、この論文の主張はduonがタンパク質の進化に影響を与えるだろうということでしょう。実際、論文の図表を見ても1がduonの発見、2と3がコドン使用頻度やDNAの領域とduonの関係、4がudonが転写に与える影響です。気になる人は論文読んでください。

Perspectiveのタイトルを見ても、タンパク質の進化との関係性が重要だと考えられていることが分かります。

duonの機能的意義を提唱して上手く論文にまとめることが出来たのが、このScience論文と2012年のPLOS ONE論文との差なのかもしれませんね。

これからのduonの話をしよう

ではこの研究は今後どう展開していくのでしょうか?Perspectiveを見ると「この論文ではduonが転写に与える影響をまだ明確に示せていないことが問題だ」って言ってますね。僕もそう思いました(KONAMI)。なので、今後の研究では「今回の論文で提唱された概念が本当に正しいのか?」ってことが重要になってくるのでしょうね。どうやって検証するのでしょうか、想像しただけで頭が痛くなってきました。

で、duonが転写に与える影響が本当に大きいすると、確かにSNPsとか色々ゴチャゴチャしそうで専門家は大変そうだなー、ってことが部外者である僕の感想です。難しいですね。

終わりに

この記事は論文の解説をするのが目的で書いた記事じゃなく、「まあまあ、『三流学者が「車輪の再発見」をした。それを「世界的な大発見」と吹聴したら、メディアが真に受けたが、実はそんなものはずっと前から知られていた、というわけ。』なんてコメントが厳しすぎますよダンナ(id:blueboyと言いたいがために書いた記事なので適当すぎるのは許してください。

まあ確かにメディアがduonだけを重要そうに書くのは良くないんだけどさ。以前にもプレスリリースで「ゾンビ細胞」と言う単語を使ったばっかりに、メディアがそこだけを持ち上げて問題になった事例がありましたが*1、研究の分かりやすさとインパクトを重要視するとそうなってしまうんですよね。そこのバランスをとるのは非常に難しく、今回の案件確かに突っ込まれてもしょうがなかったのかなーと思います。あと海外の皆さんENCODE叩き過ぎなんですけど何か恨みがあるんですかやだ怖い。

という訳で久しぶりにブログ書きましたが今マジで忙しいんで。

PS.この記事の中で一箇所だけudonと書いてあるぞ!検索機能を使わずに探してみよう!

PS2.duonの意義についての詳しい説明を読みたい人はこの記事がオススメ。分かりやすい。

PS3. 「id:urashimasan 本題と関係ないしボケなのかもしらんけど誰も突っ込まないから言っとくけど、”Exonic Transcriotion Factor”なんてないでしょ。ExonicはBindingにかかるにきまってるじゃない。」あ、そうですね。ありがとうございます。これを踏まえて文章ちょっと直しました。

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