「面白い科学記事を書くために図が欲しい!」著作権との葛藤

正しく面白い科学論文の解説は多くの人が求めるものですが、その数は未だ十分ではありません。「自分が面白いと思った科学論文をブログに書きたい」と言う人は見受けられるのですが、どうやらデータの著作権が気になって書けないようです。


最新論文の解説はモラルハザードか?

この見出しは@popeetheclownさんのblog記事タイトルをそのまま使いました。記事*1によると以下のようなメールが届いたということです。

先日掲載した『人工細菌誕生』の論文を解説してみるに対して,「公開後1年以内の論文について,解説・講義などを公開することはモラルハザードだ」という指摘のメールが届いた.

このメールに対するpopeetheclownさんの返答が以下の文章です。

WIRED VISIONやNew Scientistなどのウェブサイトでは,最新論文の解説記事が不特定多数に公開されている.

そして何よりも,既に公開された論文の内容について,公正な範囲での引用をもとに解説することが「モラルハザード」に当たるということに,現時点では私は納得がいかない.

私もこの意見には賛成です。元論文のタイトル、雑誌、西暦などを明記した上で論文誌へのリンクを貼っていれば引用として認められるはずです。togetterでも同様の事が言われていました*2

引用すれば解説も問題が無いだろう

情報処理学会のホームページに、著作権に関するよくある質問というコーナーが有りました。やはり正しく引用すれば科学記事を解説しても問題無いだろうということが見て取れます。

著作権法で正当な範囲において引用することは認められています。一般に引用するには、

  • 引用の範囲は必要最小限であり、その範囲が明確に分かるようにすること
  • 出典(題号、著作者名、出版社名、掲載雑誌名、版・巻号・ページ数等)を明記すること

などが必要とされています。引用の範囲を超えると思われる場合は、著作権者に了解を得てください。*3

科学記事を書く際に「内容の理解を助けるために論文中の図表を使いたい!」と誰もが考えると思います。では論文で使われている図表の使用も引用として認められるのでしょうか?

データは引用の範囲内か?転載か?

図表の引用と転載についても情報処理学会のQ&Aに書いてあります。

引用の範囲と見なせる場合は、図の脚注に出典元を明記するだけで利用できます。引用の範囲を超える場合は、その図の著作権者の許諾を著者自身で得てください。[eg. ○○著、○○出版、p.xxの図1を元に著者が手を加え作成した]*4

しかし引用の範囲は非常に曖昧です。有料雑誌の図表も1つ程度だったら引用としてしまって大丈夫なのでしょうか?

引用・転載のマイルール

『誰もが無料で見れる図・文章は引用可、有料論文は転載手続きを踏むというマイルール』を設けました。有料情報を強気で転載して爆死する勇気はさすがにありません。

Nature系列誌は有料ですが、個人サイトでの図表転載は無料で出来るようです。しかし他の雑誌は例え非営利個人ブログでの使用であっても有料のようです。

自腹を切って権利を買えば書けますが、趣味でやってるブログのためにそこまでする気にはなりません。面白いと思った論文の大半はこれにより書くのを断念しています。

終わりに

『Bloggers have an important part to play in the assessment of research findings』と言う言葉はNature誌の記事からです*5。もっと多くの人が科学論文を引用出来れば、今よりも更に研究成果が世に広まる可能性があります。

オープンアクセス誌が広まれば問題は解決するのでしょうか?どこかに科学記事を書く手助けをする機関またはガイドラインがあれば良いなあと思いますが、やっぱり匿名の一般ブログまで対応するのは難しそうですね。

取り敢えず自分のために主要学術誌のRights&Permissionをまとめてみることにしました。順次更新するつもりではありますが本業が忙しい。

PS.論文の出典を明記をしないネットニュースをよく見ますが、元論文に辿り着くのが非常に面倒くさくなるので、是非よろしくおねがいします。

PS2.このブログは科学風ブログですので真面目なことは期待しないで下さい。ウソは書きませんが。

PS3.書こうと思えば文章だけでも説明できますが、やっぱりビジュアルの力は凄いんですよ。百聞は一見に如かず。

Pocket

「面白い科学記事を書くために図が欲しい!」著作権との葛藤” への4件のフィードバック

  1. お忙しい中失礼します。画像の引用については色々ありますが(http://cell-innovation.nig.ac.jp/wiki/tiki-index.php?page=%E5%9B%B3%E8%A1%A8%E3%81%AE%E4%BD%BF%E7%94%A8%E8%A8%B1%E8%AB%BE%E3%82%92%E5%BE%97%E3%82%8B)、オープンアクセスならかなり自由ですし、PNASも(http://www.pnas.org/site/aboutpnas/authorfaq.xhtml の14を参照)で”PNAS automatically permits others to use your original figures or tables published in PNAS for noncommercial and educational use”とあります。”educational use”の範囲が特定少数(大学の講義等)までなのか不特定多数(ブログ等で紹介する)を含んだものなのかは分かりませんが。他でも個々の論文誌のサイトにほぼ必ずPermission等の項目で説明されているはずです。調べた上でなら申し訳ありませんが。

  2. いえいえ、わざわざコメント有難うございます。時々質問される事があるので自分なりに応えようと思った次第であります。

コメントは受け付けていません。