「生命の設計図」とも呼ばれるDNAの構造が始めて解き明かされたのは1953年。それから半世紀たった今、DNAが持つ遺伝情報とは別の特性に着目した研究が進められています。
そもそもDNAってなに?
『DNA』と『遺伝子』を混同している人は多いでしょう。
遺伝子・・・タンパク質の情報が書かれたDNA領域
生物系の大学生でも始めは区別できない人が多いです。テストにもよく出ます。
タンパク質の情報を記すだけがDNAじゃない!
これまで「DNA配列のうち、遺伝子領域だけに意味があって、他はゴミの配列」と言われてきました。しかし近年になって意味が無いと考えられていたDNA配列も生物内で重要な機能を持つ事が分かってきました。
DNAとRNAを研究することで細胞機能を理解し、生物の謎を解き明かす。若き分子生物学者である佐々木浩さんもそんな研究者の一人です。
研究者兼サイエンスライター佐々木浩
佐々木 浩(ささき・ひろし)
東京大学分子細胞生物学研究所助教。1983年、東京生まれ。
専門は構造生物学、生化学、生物物理学。
趣味はカメラ。論文の表紙にも採用されたアートワークにも定評がある。
抜群のトーク力と抱きしめたら折れそうな風貌から熱烈な男性ファンも多い。【WIREDで書かれた記事】
・急速に研究が進む生命科学。もはや生命は、コンピューター上でつくられる?
・2011年、生命科学における7大ニュース
10億分の2mのテクノロジー革命:未来はキッチンからやってくる
DNAのエンジニアリング
佐々木さんが最新号のWIREDに書かれた記事のタイトルは
「The Rise of DNA HACKERS」
生命の設計図と言う最重要な役割があるためにDNAは他の使われ方をすることがなかったのだ。DNAナノテクノロジーは、DNAという素材を生命とは異なる方法で利用する、まさに「DNA」ハックである。
人間が自然に挑む!という感じが伝わってくる、大変興味深い研究分野です。
後にDNA origamiと呼ばれる、DNAを自由自在に折り曲げる衝撃的な実験結果は人々に大きなインパクトを与えました。この論文は著者が一人と言うことも驚きです。ニコちゃんマークを描いちゃうなんてお茶目ですね。
「この研究にはなんの意味があるんですか?二番手ではいけないんですか?」
DNAを自由自在に制御する技術は「DNAコンピューター」や「DNA分子ロボット」を開発することの基盤となります。DNAという自然試料を工学的に利用する研究はまだ基礎段階ですが、未来のことを想像すると胸が踊りませんか?
終わりに
自分はDNAナノエンジニアリングに親しみがないのでWIREDの記事を読んで非常に面白かったです。ある程度分子生物学の基礎知識がある人、また能動的に科学知識を求める人は読んで損がない特集だと思います。
WIRED vol7の記事はDNAに特化しているので、最新の生物学研究を幅広く知りたい人には『未来生物学講義特集』の方が面白いかもしれません。佐々木さん監修です。